そつえんおめでとう
保育園はじめました:3
元朝日記者が保育園を開業 「物件がない!」厳しさ痛感
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2月上旬、区からファクスが送られてきた。新しく入園してくる児童の名簿だ。私が運営する小規模保育園は、4月から0歳児を迎える。開園した昨年9月に入園してきた子どもたちは、一つ上のクラスに進級する。
「ねんね」だった子はハイハイに。「ずりばい」(ハイハイの前段階)をしていた子は歩いている。人見知りが始まった子もいるが、私にはニッコリ。授乳や食事を手伝ってきたからかな。そういえば、食べる時に私の顔をじっと見ていたね。
散歩に出る時、2歳の子たちにうっかり靴をはかせようものなら、「自分ではく!」と怒られてしまった。言葉のやりとりが楽しくなってきた。ヒトは何でできているの? そんな質問を投げかけられて口ごもったこともある。本当に子どもの成長は早い。
先日、近所の保育園の卒園式に招待された。保護者たちは涙腺がゆるゆる。子どもたちが「さよならぼくたちのほいくえん」を歌うころには号泣。もらい泣きをしながら、来春、初めての卒園児を送り出す日に思いをはせた。
もりかわ・たかこ
1966年、東京都生まれ。91年に朝日新聞社に入社。生活部、be編集部、編集センターなどに所属。子ども・子育ての分野を中心に取材し、2008年には保育士の資格を取得した。14年5月に退社。昨年9月、都内に小規模保育園を開園した。
昨年9月の開園時は、年度途中で0歳児を募集する園がほぼないため、私たちの園に入園するには10倍の激戦だった。今春は3倍程度だったというが、辞退者があって2次募集したら、5人ほどが見学に来た。「家の近くの園に申し込んで全部だめでした」と、やや遠くからの見学者たち。今年も保育園の入園選考は厳しいようだ。
自宅から遠く、通勤経路と異なる園に入れざるを得なかったり、きょうだいが別々の園に通うことになったりする家庭もある。
私たちの園にも、きょうだいが別園になった子がいる。昨秋には台風が来たし、1月は雪も降った。それでも毎日朝夕、あっちに行ってこっちに来て、送迎だけで大変そうだ。
申し込みや選考は区がやるので、私たちは相談に乗るぐらいしかできない。
区は事務的に各家庭の就労状況などを点数化して判断する。同点になった場合、すでに無認可保育園に預けているとか、区に住んでいる期間の長さや世帯の収入などで比較検討する。いまどきの「保活」は、こうした公開情報を分析して、作戦を練らないと乗り切れない。
私が子どもを保育園に預けた1…