はやぶさ2のミッション
2014年末に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が、今年6月にも小惑星「リュウグウ」に到着する。数々のトラブルに遭いながら、別の小惑星から世界で初めて試料を持ち帰った「はやぶさ」の後継機。探査はいよいよ本格化する。
衝突装置の解説アニメーション
3Dでみる「はやぶさ2」
はやぶさ2は、リュウグウに約1年半滞在し、採取した表土の試料などを持ち帰る。分析から、太陽系の起源に迫る情報が得られると期待される。
ただ、リュウグウの実態は謎が多い。前回はやぶさが到達した小惑星「イトカワ」のように、自転の向きや形などが事前に正確にわかっているわけではない。
探査機が接近して最初に取りかかるのは、小惑星の姿を明らかにしていくことだ。高度を変えながら数キロまで接近してカメラで撮影。立体地図を作り、重力や自転の方向を割り出していく。その上で探査ロボットを投入し、表面の詳細な観測データに基づいて表土の採取に適した地点を決める。
観測に十分な時間を割くのは、はやぶさの教訓からだ。はやぶさは「イトカワ」に2回着地したが、どちらも予定通りではなかった。1回目は、不時着。2回目は成功したが、試料採取のために打ち込むはずの弾丸が不発だった。
運用チームの武井悠人さん(29)は「岩にぶつかってこけたり、斜面で滑ったりする心配がある。条件に合うところを見つけないと、失敗しかねない」という。
探査の最大の山場は、順調に行けば19年3月ごろ迎える。本体から分離した特殊な装置から爆薬で金属板を打ち出して、リュウグウの表面に新たなクレーターを作る。爆発の影響でむき出しになった内部の土などは、宇宙空間での風化を受けていない貴重な試料となる。
爆発の影響を避けるため、はやぶさ2は離れた位置に移動してやり過ごし、再び戻ってクレーターの試料を集める。一連の流れは、本体から直前に放つカメラで観察する。世界初の試みだ。うまく行けば、20年末ごろ試料を地球に持ち帰る。
名古屋大の渡辺誠一郎教授(地球惑星科学)は「小惑星は、太陽系ができたときのいろいろな情報を保持し続けている」と話している。
■運用訓練では秘密のトラブル「…