さんざんごねた末に、渋々お手をする角田さん=郡上市高鷲町
岐阜県郡上市高鷲町のテーマパーク・牧歌の里で、ヤギの「角田(つのだ)さん」の人気が急上昇している。デビューから1カ月。さんざんごねた末に渋々「お手」に応じるなど絶妙な「塩対応」で、一番人気のアルパカをしのぐ人気だ。
5月下旬、牧歌の里であった馬とアルパカと角田さんのショー。アルパカがお辞儀をしたり落ちたひもを拾ったりと器用な芸で拍手を浴びる中、角田さんはお手に挑戦した。
観光客らが手を差し出すが、角田さんは無反応。飼育員が何度も促すと、「仕方ないな」といった感じで足をちょこんと客の手に乗せた。
「カワイイー」。客から思わず歓声があがった。愛知県豊橋市の女性(25)は「ツンデレですね」と喜んだ。
生えていた「ツノ」つながりで、職員が格闘家の角田信朗さんにあやかって「カクダさん」と命名したが、「ツノダ」と誤読され、そのまま定着した。高山市生まれで、2年前に牧歌の里にやってきた。飼育員の福田美砂紀さん(24)と小森茜さん(25)は「最初は臆病で近寄っても来なかった」と振り返る。
一番なれているという福田さんにも塩対応で、「エサにしか興味がない」と苦笑いする。ある日、エサをおねだりするしぐさが犬のお手に似ていることに気づき、ショーの一員にばってき。4月にデビューした。
1日1回のショーでは、お手や台に乗る芸、飼育員の回す手に従ってぐるぐる回る芸を披露するが、無反応だったり、勝手に歩き回ったりすることもしばしば。客は失敗した時の方が喜んでくれるという。
お手をスルーしても、最後は渋々応じるツンデレぶり。来場者のアンケートでは「自由なところがかわいい」と評判だ。
「こんなに人気になるとは予想していなかったのでびっくり。できればもっと芸を教えたいけど、自由に元気でいてくれるのが一番かな」。飼育員らは、人気を喜びながら優しく見守っている。(山野拓郎)