後半、先制ゴールを決めるウルグアイのヒメネス②=関田航撮影
(15日、エジプト0―1ウルグアイ サッカー・ワールドカップ)
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欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝で肩を痛めたFWサラーが、エジプトの先発から外れた。
この時点で、ともにイングランド1部リバプールで得点王を取って名を上げた、ウルグアイのFWスアレスとの新旧ストライカー対決はお預けとなった。
その分、派手さに欠けたが、ゲームは目の離せない、スキを突き合う展開をたどる。互いに無理はしないが、速攻というナイフを懐に忍ばせながら。
一進一退の流れを最後に断ち切ったのは、ウルグアイだった。
時間は後半45分に迫っていた。攻めに残っていたDFヒメネスが相手の反則を誘い、右奥でFKを手にする。終盤のセットプレーは致命傷になりかねない。出場13回目のウルグアイは集中力を高め、28年ぶりにW杯に戻ったエジプトに嫌な空気が漂った。
速くて強いクロスに飛び込んだのは、FKを得たヒメネスとゴディンの185センチ以上のDF。最終ラインで冷静に火消し役を務めていた2人が最後の好機を見極めていた。頭ひとつ抜け出したヒメネスのヘディングシュートがネットを揺らした。
W杯常連のウルグアイにとって初戦は鬼門だった。
1970年のイスラエル戦に勝ったのを最後に、初戦は3敗3分け。この日で実にW杯16戦目の指揮を執った71歳の名伯楽、タバレス監督は「歴史にまた新しい物語が加わる。うれしいよ」。前日会見で「そんなものは数字にすぎない」と片付けた言葉は歴史にすり替わっていた。
逆襲速攻に頼るしかなかった相手に対し、ときに丁寧に攻撃を組み立て、ときにセットプレーから得点機をうかがった。硬軟織り交ぜながら、攻め手を探った90分間。見どころにあふれた最少得点の勝利だった。(潮智史)