第100回全国高校野球選手権記念岩手大会(朝日新聞社、岩手県高校野球連盟主催)の決勝が22日、盛岡市の岩手県営野球場であり、第1シードの花巻東が昨夏覇者の盛岡大付を破って3年ぶり9回目の優勝を果たした。序盤は盛岡大付がリードしたが、九回に暴投とエラーで花巻東が逆転した。
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全国選手権は史上最多の代表56校が参加し、8月5日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。組み合わせ抽選会は2日午後4時から、大阪市北区のフェスティバルホールである。
(22日、高校野球岩手大会 花巻東4―3盛岡大付)
夏は続く リベンジの舞台へ 花巻東・伊東翼投手(3年)
九回裏、最後に投じたのは外角のシュートだった。芯を外れた打球が二塁手の前へ転がる。「しゃー!」。花巻東の投手、伊藤翼選手(3年)がほえた。「やっと決まった」。待ちに待った瞬間だった。
甲子園行きをかけた大事な一戦で、佐々木洋監督から先発を任された。この日で3試合連続の登板。エースの田中大樹選手(3年)がケガで投げられず、チームの要を担った。
春までは終盤に体力が切れがちだった。疲れて制球が乱れ、甘い球を打ち込まれる。先発ではなく、継投での起用が多かった。
転機は春の選抜大会で大阪桐蔭に0―19で敗退した試合。投手陣が総出で挑んだが少しでも甘く入った球をすかさず打ち返された。「日本一の壁」を思い知らされた。
甲子園から戻ると、低めのコースを徹底して攻める練習を重ねた。ひざの高さにひもを張り狙った高さに球が行くまで投げ続けた。厳しいコースに投げ込むコントロール力と、変化球のキレを磨いた。ウェートトレーニングと走り込みで下半身を鍛えた。
大会前、エースの田中選手から「俺は打撃で貢献するから、マウンドはお前に任せた」と託された。だから「絶対に自分が抑えると決めていた」。
二回、盛岡大付の打線にスライダーがつかまり2点を失い、一度は三塁手にまわったが、九回に再びマウンドに向かった。「競っている場面。伊藤に任せるしかない」と佐々木監督。緩急をつけ、低めの変化球で打ち取った。
試合後、伊藤選手の目に涙が浮かんだ。「まだ夏が終わらないと思うと、うれしくて」。甲子園では雪辱を果たすつもりだ。(加茂謙吾)