ずばっと決まった153キロに、打者はバットを動かすことができなかった。高校野球最速の163キロをマークした大船渡(岩手)の佐々木朗希(ろうき)(3年)が6月30日、秋田県由利本荘市内での由利との練習試合に先発した。3回を被安打3、6奪三振、投球数51で無失点。高校世代で最も注目を浴びる「三陸の怪腕」は、着々と夏への準備を整えている。
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この日、最速となった153キロを計測したのは、三回2死一、二塁で見逃し三振を奪った51球目だ。2死無走者から四球と安打でピンチを招き、ギアが上がった。相手5番に対し、147キロ、149キロ、150キロ。直球三つで追い込み、最後も直球で押し、バットを振らせなかった。
佐々木は「ピンチだったので自分のやれることをやろうと思った。(力よりも)コースを狙うことを意識した」とさらり。この1球に、プロ野球のあるスカウトは「あれでも7~8割の力でしょう。夏へ向け、うまく調整してきている。甲子園をかけた試合で、彼が投げる姿を見たいなあ」とにっこり。
その甲子園をかけた全国選手権岩手大会は7月11日に開幕する。6月26日に組み合わせ抽選会があり、大船渡は15日の初戦で遠野緑峰との対戦が決まった。「6回、勝たなければ甲子園には行けない。自分のできることをしっかりやり、チーム一丸でいきたい」と佐々木。あこがれ続けた舞台を目指す最後のチャンス。まもなく戦いが始まる。(竹田竜世)