第101回全国高校野球選手権岩手大会が11日、開幕し、県営野球場で2試合が行われた。開幕試合は花巻北が葛巻に2―0で勝利。続く第2試合は大槌が9―3で盛岡農を破り、ともに2回戦進出を決めた。12日は県営、花巻の2球場で2回戦計6試合が行われる。雨天順延。
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ピンチでも笑顔 強豪に好投 葛巻 林下玲投手(3年)
八回裏、2死一、二塁。葛巻の林下玲投手(3年)はピンチでも笑顔を崩さなかった。「まだ追いつける!」。マウンドに駆け寄ってきた仲間たちに励まされた。林下投手と同様、選手たちの表情は明るい。仲間に背中を押され、次打者をフライに打ち取った。
1年夏に3年生が引退して以降、連合を組むことになった。連合チームで練習ができるのは土日だけ。単独チームの頃と比べて圧倒的に練習量が少なかった。連合チームで臨んだ2年生の夏は初戦で敗れた。
3年生になると1年生5人が新たに入部。部員は10人になり、葛巻単独での出場が実現した。この日の試合で、林下投手は何度も外野へ向けて人さし指を立てた。「まず1勝」。このチームで夏の勝利をつかむため、仲間と立てた目標だった。
試合に敗れたものの、昨夏16強の花巻北を相手に緩急をつけたキレのある投球で散発6安打と好投した。最後まで笑顔で攻めの姿勢を貫けたのは、仲間のお陰だ。今春の新入部員のうち、2人は花巻市からの山村留学生。「葛巻の人はおとなしいが、南(花巻)の人はよく笑ってくれる」と感じる。いろんな地域の選手がともに戦うことでチーム全体が明るくなった。
自分たちが引退すれば、秋は再び連合を組まざるをえない。それでも「新しい仲間としっかり話し合うことを忘れなければいいチームができる」。後輩たちには自らの経験を伝えていく。夏の1勝は、後輩たちに託した。(御船紗子)