第101回全国高校野球選手権岩手大会は14日、県営、花巻、森山の3球場で2回戦計9試合があった。昨夏優勝の花巻東は九回、花巻北に逆転されながらも同点に追いつき、延長十回にサヨナラ勝ち。シード校の専大北上は黒沢尻工に敗れた。
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花巻北、九回に一時逆転
昨夏の岩手大会の覇者・花巻東を、あと一歩まで追い詰めた。
花巻北が3点を追いかける展開の九回表。田村幹太選手(3年)の適時二塁打に続き、中村駿選手(3年)のスクイズで同点に追いついた。なおも2死三塁の場面で鎌田知成選手(3年)が打席に立った。
「みんながつないでくれた打席。打つしかない」。落ち着いて臨んだ。狙っていた外角真ん中の直球を強打すると、中前に転がり逆転打に。県営野球場がこの日、一番の盛り上がりを見せた瞬間だった。
そんな中、花巻東の選手たちに動じる気配はなかった。甲子園常連校の「勝利の執念」に押される形で、延長十回にサヨナラ逆転負けを喫した。
今春の地区予選で花巻東に4―6で負けた。今夏の抽選会で、初戦を勝ち上がれば2回戦で花巻東と再戦できるとわかり、「打倒花巻東」を掲げて練習してきた。「逆転練習」と名付けた実戦形式の攻撃練習では、相手にリードされている設定で選手が打席に入り、逆境に打ち勝つ精神を鍛えてきた。
できるだけ失点を少なくし、相手投手の疲れが出てくる試合後半に得点を重ねる狙いだった。この日は五回まで無失点。強力打線を相手に散発3安打で抑えた。六回に3点を取られても九回に逆転できたのは、「逆転練習」が生きたからこそだ。
試合後、高橋一希主将(3年)は「甲子園出場校にみんなでよくやった。悔いはない」と語りつつも「やっぱり勝ちたかった」と声を絞り出した。(御船紗子)