フリーマーケットアプリや民泊などの「シェアリングエコノミー(シェアエコ)」について、政府は国内総生産(GDP)に算入する方針を固めた。表に出ない個人間のやり取りを把握してGDPに算入する手法を研究中で、2020年度にも新たに採用される可能性がある。
手作りのスマートフォンケース、アクセサリーや洋服――。手作り品の売り手と買い手を仲介するサイト「mi(ミ)n(ン)ne(ネ)」には45万人から819万点以上が出品されている。利用者の女性(29)は「流行のデザインがメーカーのものより安く買え、手作り品にしかない味わいも魅力的」と話す。
運営会社のGMOペパボによると、昨年の流通額は100億円を超えた。しかし、その大半はGDPには含まれていない。
GDPは国内で生み出された付加価値(もうけ)の合計額で、本来は出品者の販売額から材料費などを差し引いたもうけも計上されるべきだが、GDPは業者らに対する統計調査などを元にしている。個人間のやり取りにまで目配りできていないのが実態だ。
これまでは、GDPの規模に対する個人間の取引は微々たるものだったので問題にはならなかった。最近は、家事代行の仲介や個人間での車の貸し借りなど、新サービスが次々に生まれ、取引額が急拡大。内閣府の試算では、16年のシェアエコの市場規模は6千億円近くにのぼる。
GDPはその国の成長率や豊かさを数値化して比較したり、国の経済政策を考えたりするうえで重要な指標。15年度には研究開発費を算入対象に加えると決めるなど、経済の実態に合うようたびたび更新されてきた。政府はシェアエコについても、昨夏から研究を進めている。
GDPへの算入が最も有力視されているのが、住宅を宿泊場所として貸し出す「民泊」だ。当初は違法な「ヤミ民泊」がほとんどで実態は不明だったが、6月に本格的な法規制が始まり、利用者数や売り上げなどの情報を集めるための環境が整いつつあるからだ。
ただ、個人ではなく業者がサー…