正当な漁業か、資源を枯渇させる略奪行為か。英仏海峡のホタテ漁をめぐり、両国の漁師が激しく対立している。27日夜から28日未明にかけて、両国の漁船が衝突する事態に発展。両国のメディアは「ホタテ戦争」と報じている。
英メディアによると、セーヌ川河口に近い仏ノルマンディー沖で27日夜、ホタテ漁をしていた英漁船5隻を止めようと、約40隻の仏漁船が集結。仏漁船から英漁船に石や金具が投げつけられ、けが人は出なかったが、窓が割れたという。
仏政府はホタテ漁の漁期を10月1日から翌年5月15日に制限。だが、英漁船は適用外で、漁期外も操業を続ける英漁船に対し、仏漁業関係者は「略奪行為」と猛反発している。両国は過去10年以上対立し、ここ数年は英側が10月1日まで大型船では漁をしないことで妥協してきた。だが、英国の小型漁船の増加を心配する仏漁業関係者は今年、10月まで一切漁をしないよう英側に求めていた。
英BBCによると、仏側の漁業組合長は「英国人にとっては飲み放題と同じだ。取りたい時に取りたい場所で取りたいだけ取る。せめて10月1日まで待ってほしい」と批判。一方、英漁業関係者は「海賊行為」と仏側を非難し、英海軍による保護を求めている。(ロンドン=下司佳代子)