レスリング日本協会の栄和人・前選手強化本部長(58)が、伊調馨選手(ALSOK)らにパワーハラスメント行為をした問題で、栄氏が一部が虚偽の告発で名誉を傷つけられたとして、伊調選手のコーチだった田南部力氏(43)に330万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。20日付。
訴状によると、田南部氏は今年1月、弁護士に依頼して告発状を内閣府に提出させた。栄氏は「田南部氏に対して伊調選手を指導しないよう不当に圧力をかけた」とする部分など、告発状の一部に虚偽があるとしている。協会は4月、第三者委員会調査を経て、栄氏のパワハラ行為を認定した。
栄氏は、この第三者委員会が「証拠上認められなかった」などとした告発の一部を「名誉を毀損(きそん)する目的で、虚偽であることを認識しながら、真実であるかのように装った」と主張。報道などで「(伊調選手らに)不当な圧力をかけた」などと繰り返し報じられ、「社会的名誉及び名誉感情を著しく毀損された」と訴えている。
栄氏は7月にうつ病と診断され、現在も通院しているという。(仲程雄平)