体操の世界選手権(25日開幕、ドーハ)に出場する日本男子代表が2日、都内で試技会を公開した。29歳のエース、内村航平(リンガーハット)は1週間前に右足首を痛めたことを明かし、ゆか、跳馬を除く4種目を行った。約3週間後に迫った世界選手権で全6種目に出場するめどは立っていないが、エースをカバーしようと、白井健三(日体大)ら日本チームの大学4年トリオに前向きな緊張感が生まれている。
内村は9月25日の練習で、跳馬で着地する際に右足首を痛め、「前距腓(ぜんきょひ)じん帯損傷」と診断された。ちょうど1年前の世界選手権では同じ跳馬の着地で左足首を痛めて棄権し、個人総合は6連覇で途絶えた。けがしたのは逆足の同じ部分で、前回の診断は「不全断裂」で全治2~3週間。「あの時は歩くのも痛かったが、今回は痛くない。(世界選手権で)6種目できないと断言するのは早い」と話した。
大事を取って、試技会では演技した4種目も着地の伴う下り技は避けた。練習と治療を進め、回復具合を見て出場種目を決める予定だ。
28歳の田中佑典(コナミ)も右肩を痛めており、得意の平行棒と鉄棒の2種目に絞って準備している。水鳥監督は「状況によって、出場種目や順番が変化すると選手には伝えてある」。白井は予定通り、全6種目に出場予定だが、残る萱(かや)和磨、谷川航(ともに順大4年)は出場種目が増える可能性があり、柔軟な対応が必要になる。
萱は「迷いはない。自分の役割はミスなく、次の選手にバトンを渡して勢いをつけること」。試技会ですきのない演技を披露した谷川も「6種目ともしっかり準備をしておきたい」と頼もしい。
団体総合では宿敵の中国を相手に、「ひとつでもミスをした方が負ける」(水鳥監督)というハイレベルの競争が予想される。昨年の世界選手権個人総合で銅メダルだった白井は「チームには明るい雰囲気がある。(けががあるからといって)何かを変える必要はない」。
けが人を抱える苦しい状況が若手の責任感を刺激し、チームをたくましくしつつあるようだ。(潮智史)