近畿圏の輸出入が９月、前年同期比で大幅に減少した。台風の影響で関西空港が一時閉鎖され、国際貨物の施設にも大きな被害が出たためだ。

【特集】関西国際空港

大阪税関が１８日に発表した９月の貿易概況（速報）によると、近畿２府４県からの輸出額は、前年同月比２４・５％減の１兆１１９４億円だった。減少は７カ月ぶりで、リーマン・ショックの影響が続いていた２００９年９月以来の下落幅となった。一方で、輸入額も２４・４％減の９３１７億円で、６カ月ぶりにマイナスに転じた。

このうち関西空港からの輸出は５８・０％減の２３３６億円。輸入は７０・８％減の１０６１億円だった。

品目別でみても、関空から貨物便で空輸するものが大きな影響を受けている。輸出では「半導体等電子部品」が４５・８％減の９２３億円だった。輸入品では、「医薬品」が７８・４％減の１７１億円だった。関空には国内最大級の医薬品専用倉庫があるが、この施設も被災しており、大きな影響が出た。

全国の輸出額に占める近畿のシェア（比率）は１６・６％、輸入のシェアは１４・１％になった。通常はいずれも２０％ほどで、１９９５年の阪神大震災直後に匹敵する大幅な落ち込みだ。

関空を運営している関西エアポートによると、医薬品専用倉庫も１０月上旬には復旧し、現在では被災前の約９割の能力まで回復しているという。

関空発着の貨物を取り扱う大手航空貨物会社の阪急阪神エクスプレスは関空の被災当初、トラックで成田や中部空港まで品物を運び、空輸していた。担当者によると、関空の貨物能力回復とともに「半導体メーカーなどが関空経由の輸出を再開している」という。（辻森尚仁）