五輪に4大会連続で出場し、二つのメダルを獲得した卓球女子の福原愛(29)が23日、ブログで現役引退を表明して以降初めて、取材に応じた。3歳9カ月からラケットを握って約26年。「自分の恩人」と競技人生を振り返った。
卓球の福原愛、ブログで引退表明「使命は果たせたかな」
21日にブログで引退を公表した。「色々な方から『お疲れ様』と言って頂いたりとかして、すごく気持ちが軽くなった。やっと皆様にお伝えすることができたので、今はとても晴れやかな気持ち」と語った。
団体で銅メダルを獲得した2016年のリオデジャネイロ五輪後、台湾代表の江宏傑と結婚。昨年10月に長女を出産した。20年東京五輪に向け、競技を続行するかどうかも悩んだ。「毎日のように、気持ちが変わったりとか。『やっと決まった』と思っても、1週間たったら、『あれ、やっぱ違うな』っていう風に思ってしまったりとかして、ずっと悩み続けてきた」
だが「自分中心ではなく、一歩引いて卓球界のこととか、色々なことを考えた時に、(引退が)ストンと出てきた」。今年5月ごろに方向性が固まったが「誰かに伝えることに対して勇気が必要だった」。自身が理事になっている新リーグ「Tリーグ」が24日に開幕する前に、発表する決断に至ったという。
幼い頃は「泣き虫愛ちゃん」と呼ばれ、お茶の間の人気者になった。「あの頃の自分に声をかけるとしたら」と問われると、笑って答えた。「あの時は『泣き虫じゃないもん』と思ったことが、何回も何回もあったんですが、振り返ってみると、最後のリオのオリンピックの時もすごい泣いていましたし、やっぱり泣き虫なんだって。なので『泣き虫愛ちゃんだよ』と言いたいです」
将来は指導者への思いも口にした。「周りから必要とされる指導者にならなきゃいけないかなと思うので、しっかり勉強して、必要とされることがあれば、考えたい」と語った。(前田大輔)
伊藤選手「福原さんのおかげ」
〈伊藤美誠選手のコメント〉 「福原(愛)さんとは、リオ五輪に出場が決まってから、多くの時間を一緒に過ごさせていただきました。特に現地入りしてからは、ご自分の試合もあるのに、キャプテンとしていつもチームのことを気にかけ、声をかけて下さったことを思い出します。年下の私たちがプレーしやすいように気を配っていただき、おにぎりもたくさん作っていただきました。福原さんのおかげで私も100%の力を出すことができ、福原さん、石川(佳純)さんと3人で獲得した団体銅メダルは私の宝物のひとつです。
今、日本で卓球がこんなに盛り上がっているのも、福原さんのおかげだと思います。そして、そんな卓球人気の中で私がプレーできているのも福原さんのおかげだと感謝しています。大先輩である福原さんからのエールを受け、私も卓球界に貢献できるよう頑張ります」