天文学で最も知られている「ハッブルの法則」は今後、「ハッブル・ルメートルの法則」に――。国際天文学連合(IAU)は29日、新たな名称の使用を推奨することを決めた。教科書や辞典などの表記も変わることになりそうだ。
米国の天文学者エドウィン・ハッブル(1889~1953)は1929年、地球から遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっていることを発表。遠ざかる速度が、地球からの距離に比例していることは「ハッブルの法則」と呼ばれ、宇宙が膨張している証拠として知られている。高校の地学の教科書にも載っているほか、この大きな発見をたたえて、NASAの宇宙望遠鏡もハッブルの名前を冠している。
一方、ベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートル(1894~1966)も27年、同様の論文を発表。ハッブルの発表より2年早かったが、フランス語で書かれていた上、知名度の低い学術誌に掲載されたため注目されず、ハッブルの発表に埋もれる形になってしまった。
だが近年、ルメートルの研究経緯が詳しく分かってきたことを受け、IAUは8月、法則名に同氏の名前を追加することを提案。会員約1・1万人に電子投票を呼びかけた結果、投票者約4千人のうち約8割が賛成した。
IAUの決定を受け、日本学術会議の分科会が国内で法則名の表記などをどう扱うのか検討しているという。(石倉徹也)