ウクライナ東部の一部を占拠する親ロシア派武装勢力は11日、支配地域で「元首」などを選ぶ独自選挙を強行した。選挙を2015年に結ばれた停戦合意違反だとして批判するウクライナとドイツ、フランスの3首脳は同日パリで会談し、選挙結果を認めない姿勢を強調した。
親ロ派トップ、謎の暗殺 ウクライナ東部で深まる混迷
政府軍と親ロシア派、出口なき戦い4年 ウクライナ東部
選挙は親ロシア派による「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を名乗る二つの支配地域で、「元首」「議会議員」を選出するためそれぞれの住民を対象に行われた。同派は11日夜、投票率が77~80%に達したと発表した。
親ロシア派は14年春からウクライナ政府軍と激しく武力衝突。ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4首脳が署名した15年2月の停戦合意では同派支配地域でウクライナの法律にもとづく選挙を行うことが定められたが、今回の選挙は親ロシア派が合意を無視する形で一方的に実施した。
ウクライナのポロシェンコ大統領とメルケル独首相、マクロン仏大統領の3首脳は11日、パリで行われた第1次世界大戦終結100年の式典の後に会談。今回の選挙が「ウクライナの主権と統一を損なう」とする共同コミュニケを発表した。(パリ=喜田尚)