国際エネルギー機関(IEA)は13日発表の世界エネルギー見通しで、各国政府が計画中の政策を実行すると想定した場合、原油価格は2017年の1バレル=52ドルから、25年に1バレル=88ドルと1・7倍になる見通しを示した。生産関連施設への投資の減少から20年代初めに深刻な供給不足が生じるおそれがあるとして、「価格が急上昇するリスクがある」と警告した。
石油輸出国機構(OPEC)は足元の供給過剰の懸念から来年の減産を検討する。しかし、IEAによると、過去3年間は原油価格の低迷で石油メジャーが投資を絞った結果、需要増を満たすのに、本来必要な生産プロジェクトの半分しか進んでいない。現在進む新規の生産プロジェクトだけでは、25年に1日あたり1300万バレルの供給不足が生じるおそれがあるという。
供給不足を解消できるかは今後の投資の行方と、米国のシェールオイルの増産ペースに左右される。IEAは25年までの世界の石油生産の増加分のうち、約75%にあたる1日あたり520万バレルを米国が担うと予想する。ビロル事務局長は朝日新聞の電話インタビューで「我々の予想以上に米国が生産を増やさなければ、20年代初めに価格の上昇圧力が強まるかもしれない」と述べた。(ロンドン=寺西和男)