高齢者向けの弁当宅配を手がける外食大手ワタミ(東京)が、5月から愛知県内で弁当のプラスチック容器の回収・リサイクルを始めた。同社によると業界初の取り組みで、3年以内に全国に広げる計画。世界的に問題となるプラスチックごみ削減をめざす。
「プラごみ危機」をまとめ読み
スタッフが回収
「リサイクルはいいことだ。かさばるゴミも減る」。5月下旬、名古屋市熱田区の徳本孝之さん(88)は、弁当を届けにきたスタッフに空き容器を手渡した。食べ終わった容器を自分で洗い、回収に協力しているという。
ワタミは2008年に宅食事業に参入。全国で1日約23万食を届ける。愛知の一部メニュー約4700食を対象に5月から容器リサイクルを始めた。
弁当は愛知県内の工場でつくられ、営業所を経由して利用者宅に届けられる。宅配のときに、食べ終わった容器をスタッフが回収する。集めた容器は日本製鉄の名古屋製鉄所で、プラスチックの原料などにケミカルリサイクルされる。
重さは従来の10分の1に
従来の容器は利用者に返却してもらい、熱湯で洗って繰り返し利用するため、頑丈につくられていた。だが容器が重いため物流効率が悪く、水を大量に使うなど環境への負荷が大きいのも課題だった。
新しい容器は1度使ったらリサイクルに回すので、頑丈である必要がなくなり、重さは従来の10分の1に。トラック輸送中の二酸化炭素排出量の削減が期待できるという。ワタミが容器を回収することで、ごみとして燃やされたり、投棄されて海に流れこんだりすることを防ぐねらいだ。
■2022年3月までに全…