英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英与党内で政府方針への反発から、メイ首相の交代論が出ていることについて、メイ氏は18日、英スカイニュースに出演し、「いまリーダーを代えても、交渉は楽にはならない。交渉が遅れ、EU離脱の遅れや失敗の恐れが出てくる」などと語り、牽制(けんせい)した。
英国とEUは、離脱の条件などに関する協定案で暫定合意したが、将来にわたり英国が貿易などでEUルールに縛られる可能性を残したことなどから、与党の強硬離脱派を中心に反発が広がっている。
調査会社ユーガブの英国の成人3154人を対象にした15日の世論調査でも、協定案を支持するとした人は19%にとどまり、反対は42%に上った。分からないは39%だった。だが、メイ氏はこの案のまま押し切り、25日の臨時のEU首脳会議で正式合意にこぎ着けたい考えだ。
メイ氏は、首脳会議より前にブリュッセルを訪問し、EUのユンケル欧州委員長と会談する予定も明らかにした。離脱後の英・EUの通商関係などの大枠を示す「政治宣言」について詰めの協議をする。政治宣言は法的拘束力がなく、協定より変更しやすい。政治宣言に英国に都合のいい内容を盛り込み、協定への不満を抑える狙いのようだ。
離脱協定案は英国の閣議でも承認を得たが、その後に大臣4人が抗議の辞任。英メディアによると、メイ氏を支持する重要閣僚の中でも、協定案の修正を求める動きがある。与党・保守党内では、党首のメイ氏に不信任を突きつける動きも広がる。反発する人たちを説得し、25日に協定案の正式合意に持ち込めるか。瀬戸際にあるメイ氏自身、「この7日間は決定的に重要だ」と話した。(ロンドン=下司佳代子)