主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島をめぐる緊張が激化している。ウクライナ軍が艦船をロシア側に銃撃、拿捕(だほ)された事件を機に臨戦態勢に入るとロシアは半島のミサイル部隊を増強。ウクライナ大統領は近海に北大西洋条約機構(NATO)軍派遣を求める。各国は双方に冷静さを求めるが、クリミア併合を認める国は極めて少なく、ロシアは孤立せざるを得ない。
トランプ米大統領が突然G20でのプーチン・ロシア大統領との会談をキャンセルした背景には、ロシアに対する「弱腰」批判を避ける狙いがあるとみられる。トランプ氏は今夏クリミア併合を認めるかのような発言が伝えられたが、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が「米国の立場ではない」と修正。クリミア問題では慎重にならざるを得ない事情がある。
ロシアの連邦保安局(FSB)が管轄する国境警備隊がクリミア半島とロシア南部に挟まれたケルチ海峡でウクライナ軍の艦船3隻に発砲したのは25日。ウクライナは「ロシアによるウクライナへの攻撃」とし、議会承認を経て28日からロシアやクリミア半島と接する地域に戦時法を適用し、軍を臨戦態勢に置いた。
ロシアは支配するクリミア半島…