27日に開幕する陸上の日本選手権で、男子100メートルの2連覇を狙う山県亮太(セイコー)が9日、母校の慶大で練習を公開した。前日にサニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)が9秒97の日本記録を出したばかり。今季、調子の上がらない山県は「悔しい気持ちはあるが、今は自分の状態を上げていくことが一番」と冷静に話した。
1時間半ほどの練習でスタートダッシュなどの動きを確認した山県は素直に現状を話した。「今季はずっと鋭いスタートが切れていない。(これまでの良い)感覚を失ったところがある」
今季のベスト記録は、5月19日のゴールデングランプリ大阪(GGP)で出した10秒11だ。「GGPも自分の走りの感覚と比べると記録が出すぎている。10秒0台が遠く感じている」
そこにサニブラウンの日本記録のニュースが飛び込んできた。「出るべくして出たな、と思った。自分の状態が上がってこないもどかしさはあるが、世界を見据えた時に自分も越えていかなければいけない記録だと思う」
日本選手権は厳しい戦いになると自覚している。「勝つには9秒台が必要になってくる。自分は今、9秒台を出すとはなかなか言えないところがある。挑戦者としてしっかり世界選手権の代表権をとれるよう頑張っていきたい」
10日が27歳の誕生日の山県は、関係者から花束を贈られ、ようやく笑顔を見せた。(堀川貴弘)