景気拡大の長さが、高度成長時代に4年9カ月続いた「いざなぎ景気」を上回り、戦後2番目になった。内閣府の景気動向指数研究会(座長=吉川洋・立正大教授)が13日に認定した。
2012年12月に始まった景気の拡大は、足元も続いているとみられる。年明けの19年1月まで続けば、08年2月までの6年1カ月だった戦後最長景気(いざなみ景気)も超える。
景気の山と谷は、生産や雇用など9指標をもとに研究会で有識者らが議論し、内閣府が判定する。月ごとに見るとぶれが大きいため1年ほど後まで含めて分析する。その結果、景気の拡大が、少なくとも昨年9月まで4年10カ月間続いたと今回認定した。
ただ、戦後2番目になったのはあくまで景気拡大の長さで、成長の大きさではない。
東京五輪の後の1965年に始まり、大阪万博があった70年まで続いた「いざなぎ景気」は、年間の成長率が平均10%を超えた。「3C」とも呼ばれるカラーテレビやクーラーといった品が急速に普及し、多くの人が豊かさを実感できた。対して、今の景気拡大の平均の成長率は1%台にとどまり、当時のような好景気は実感しにくい。14年の消費税率8%への増税後は消費が大きく落ち込み、「景気拡大はすでに途切れている」との指摘も出ていた。
今も緩やかな景気の回復は持続しているとみられ、戦後最長を更新する可能性は高いとみられている。ただ。年明け以降も視野に入れると、景気の先行きは不透明だ。米中対立や英国の欧州連合(EU)離脱問題など、海外発の景気変調のリスクは増しており、国内への影響が心配されている。来年10月には10%への消費増税も控えており、日本経済は正念場を迎える。(森田岳穂)