指定暴力団工藤会が本部事務所(北九州市小倉北区)の固定資産税を滞納している問題で、市が土地と建物の差し押さえ手続きを始めたことが18日、関係者への取材でわかった。市は差し押さえ後に公売にかけ、数百万円とみられる滞納分を確保する考えだ。
本部事務所については、福岡県公安委員会が2014年以降、工藤会に対して暴力団対策法に基づく使用制限命令を出しており、現在は使われていない。
関係者によると、工藤会は事務所が使えなくなった後に、固定資産税を滞納するようになった。土地と建物の固定資産税額は年間で計100万円程度という。固定資産税の納税義務の消滅時効は5年。その前に差し押さえる必要があると判断したとみられる。
北橋健治市長は14日の定例会見で「本部事務所の撤去は暴力追放運動の目標。検討を加速させている」と述べ、撤去をめざす考えを示していた。
登記簿などによると、本部事務所は1971年に建てられ、土地面積が1752平方メートル。土地と建物は、工藤会トップの野村悟被告(72)=殺人罪などで起訴=が代表取締役を務める会社が所有している。福岡法務局北九州支局によると、土地、建物の登記は今月14日から変更中で、21日に変更が完了する。(井石栄司)