LGBTなど性的少数者への理解を広げる活動をしている歌手のROSEさん(59)(本名・宮崎猛志さん=北九州市若松区)が17日、福岡県久留米市のブリヂストン久留米工場で講演した。管理職を中心に約50人が聴き入った。
ROSEさんは以前は、ケアマネジャーの仕事の傍ら、「女装歌手」として高齢者施設を中心にボランティアで歌う活動をしていた。次第に女装している方が落ち着き、化粧なしでは外に出られなくなった。いろいろな人に相談し、心と体の性が一致しないトランスジェンダーなのだと分かり、56歳の時に周囲にカミングアウトした。
工場は、三交代制の勤務で、約1100人のうち女性は約60人と男性中心の職場だ。入江智祐工場長は「国内外で14万人を超える人が働いている。久留米工場ではカミングアウトしている従業員はいないが、もしかして自分を抑えて仕事をしている人もいるかもしれない」と語る。「講演を通じて多様性について知ってもらい、相手を理解し、思いやる気持ちになってくれたら」と考えた。
講演でROSEさんは、カミングアウトまでの経緯を説明し、「工場は、一つの固まりになって一致団結して働く職場かもしれません。その固まりに染まれない人が出てきた時に、受け入れられることが大切だと思います」と語った。
「もし部下の方が相談にきたら、途中で意見を言うのではなく、まず、すべての思いを聞いてあげてください。そして、聞いた上で、助言としてご自身の意見や思いを語ってください」とアドバイス。「重要なことは対等な立場になって、意見をぶつけ合うということ。そうすることでお互いを理解できるようになります」と話した。
講演を受け、ブリヂストン久留米工場では今後、性別に関係なく利用できるトイレの設置などを検討していくという。
啓発ライブなどの問い合わせは、ROSEさん(090・6294・6971)へ。(倉富竜太)