柳川を舞台にしたニセ電話詐欺被害の防止啓発DVDを、福岡市のテレビ番組制作会社「エーティーシー」(福岡市南区)がつくった。観光名所を舞台に柳川藩祖立花宗茂が詐欺を暴くという斬新な内容。市民への浸透が期待できるとして、福岡県柳川市と柳川署が同社の髙松明夫社長(60)に感謝状を贈った。
DVDは多様化する詐欺手口に合わせ、「はがき」「ニセ警察・ニセ金融庁」「ニセ息子」「マネーカード」の4編で構成。計17分間に編集している。
4編ともドラマ仕立てで、巧妙な手口にお年寄りがだまされそうになると、宗茂と妻の誾千代、架空の息子の雷切丸(らいきりまる)が現れ、詐欺だと暴く展開だ。
被害者を、柳川名物のうなぎ店の老夫婦や、柳川伝統のひな飾り「さげもん」を作る老婦人らに設定したほか、川下りや柳川藩主立花邸御花など市内の名所・名物がふんだんに登場。作品を見た金子健次市長は「詐欺被害防止だけでなく、観光客誘致や、宗茂を題材にした大河ドラマ誘致にも使える一石三鳥のDVD」と大喜びだった。
一方、髙松さんは「なるべく柳川に密着して作るようにしました。これを見て、少しでもだまされる人がいなくなるよう願っています」と語った。
署と市は今後、市内の金融機関などで映像を流してもらうよう依頼する方針。県警を通じて県内全域へのDVD配布や、ネット配信も検討している。(森川愛彦)