福岡市の中心部を東西に横切る「明治通り」と「昭和通り」。ほぼ並行して走る福岡を代表する大通りだが、明治通りの方が通行に時間がかかるらしい――。両方の通りの構造的な違いが気になっていた記者が実際に歩いて比べてみた。
おっと――。明治通りを渡るために一歩を踏み出そうとした歩行者の足が慌てて止まる。青になるだろうと思った歩行者用信号は赤のままで、自動車用信号だけが青に変わった。しばらくして、ようやく歩行者用信号が縦と横、同時に青に変わった。
こうした信号は「歩車分離式」と呼ばれる。東京の渋谷駅前のスクランブル交差点が有名だ。
警察庁が2002年1月から半年間、全国100カ所の交差点で歩車分離式信号をモデル運用したところ、人身事故の発生が従来より約4割減少したとの結果が得られた。車と歩行者が交わる機会がないので、同庁は一般の交差点より安全と位置づけ、同年9月に「歩車分離式信号に関する指針」を制定し、全国的に導入を進めた。
県内での導入状況はどうなっているのか。
県警によると、県内にある約1万基の信号機のうち、約4%の364基が歩車分離式だという(18年12月現在)。導入数は全国7位。上位には東京都1512基、大阪府974基など大都市圏が並ぶ。県内では、福岡市博多区や中央区、北九州市小倉北区などに多く設置されている。
なかでも明治通りは「密集地帯」だ。
1973年に福岡市中央区の赤坂西交差点に第1号が設置されて以来、現在まで年々増加。博多区の千代2丁目交差点から、中央区の荒戸交差点までの区間、約3・5キロにある全26基の信号機のうち約7割に当たる18基に導入されている。
なぜ明治通りにこれほどたくさんの歩車分離式信号が集中しているのだろうか。
県警交通規制課の中山隆裕次席…