1リットルの牛乳パックに詰め込まれた12枚のクッキー。鹿児島県薩摩川内市で、そんな「農協牛乳クッキー」が新名物になっている。昨年末に売り出したところ、口コミやSNSで話題に。地元の牛乳メーカーとそっくりの容器だが、本物とはちょっとした違いもある。
青をベースに「ミルククラウン」(王冠状にミルクがはじける図柄)をあしらった紙パック。鹿児島県北薩地方を中心に学校給食で提供され、スーパーの店頭でもおなじみの県酪農乳業「農協牛乳」そのもののデザイン。「成分無調整」を「成分調整済」に変えるなどしているが、一見、本物と見分けがつかない。
発案したのは、加工食品の企画や製造販売を手がける「エーエフ」(薩摩川内市)の石沢秀京(ひでちか)社長(34)。工場に菓子製造ラインを作ったが、目玉商品がなかったため、昨秋、県酪農乳業の役員に「地元の人になじみがあって、笑ってもらえる土産品にしたい」と相談。材料に農協牛乳を使うことを条件に、デザインの利用にOKが出ただけでなく、紙パックを牛乳工場の専用機械で組み立ててくれることになった。
年末年始の帰省シーズンに間に合わせようと昨年12月29日、JR川内駅の土産品店「駅市薩摩川内」で発売。年末3日間の売り上げは3個だったが、翌年1月に入ると急伸した。店頭では手に取った時の拍子抜けするような軽さが受けた。冷蔵庫に本物の牛乳と並べて入れてみたくなる「遊び心」のある商品としても評判が広まって、3月には月間200個台に乗った。
「駅市」を運営し、クッキーの…