福岡県福智町の大学生が、同県行橋市宮市町でお面の展示会「面 MEN」を開いている。女性として生まれたが、20歳の時にカミングアウトし、男性として生活する。ずっと自分を偽ってきたから、「別のものになれたり、自分を隠したりできる」お面にひかれたという。
展示しているのは、福岡教育大4年の高津麦(むぎ)さん(22)。小さいときから、お面はずっとワクワクする存在だった。20歳の誕生日に、自分らしく生きたい、と家族や友人らに打ち明けた。
手づくり作家のお店「ものづくりroom Powan」で展示する作品19点は、大学2年の夏から作り始めた、今年3月の卒業制作展に向けたもの。高さ1・9メートルの大作もあり、独創性豊かだ。すべての作品を卒業制作展の会場に展示できないために今回の展示を企画。ポストカードや販売用のお面も用意した。
材料は幅2センチ前後の紙ひも(クラフトバンド)をホチキスで留めて骨組みを作り、障子紙を貼って胡粉(ごふん)でコーティングし、自作の土絵の具などで色づけする。「アフリカの何という民族のお面ですか」と尋ねられることもあるが、手本はないという。スケッチはなく、その時々の感性、考えの赴くままに仕上げていく。だから「自分自身と向き合える」という。
高津さんは「新しい自分を感じる楽しさを伝えたい」と、お面づくりを昨年6月の中学校での教育実習でも採り入れた。4月からは小学校の教師になる。「趣味としても教材としてもお面づくりを続けたい。個展では、自分の思いが詰まったお面の表情の違いを楽しんでほしい」と話す。
入場無料。2月10日まで(毎週火曜定休)。問い合わせはポワン(0930・25・6333)へ。(久恒勇造)