昨年10月7日、夜明け前からの雨がやみかけた午前7時30分、大迫傑(すぐる)(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が出場するシカゴ・マラソンがスタートした。レース中盤、現地の記者室で日本陸連の坂口泰・五輪強化コーチは「日本記録は難しいな」とつぶやいた。20~25キロのスプリットタイムが15分28秒に落ち込んだ。
空気が一変したのは25~30キロが14分27秒と1分以上も速くなった時だ。その後の5キロごとのスプリットも14分台で刻み、日本選手として初めて2時間6分の壁を破る2時間5分50秒の日本記録をマークして3位に食い込んだ。
これまでの日本選手はこうしたペース変化についていけなかった。「練習からペースの変化を意識しているので対応できた」。常にスピードを意識した走り込みが実を結んでいる。
そうした練習の質を、精神面の充実が支えている。
帰国後のインタビューで、瀬古…