大災害に備えるにはどうすればいいか。参考になりそうな地域が神戸市にある。約2300世帯が暮らす長田区の真野(まの)地区だ。ここに本社を置く工業用ベルト大手の三ツ星ベルトは「ご近所力こそが減災の鍵」と住民との交流に力を入れる。その信念は阪神・淡路大震災の経験から培われた。
特集:阪神大震災
災害大国あすへの備え
「まあー会長さん、久しぶり」。高齢の女性が親しげにスーツ姿の男性の手を取る。「よう来ていただきました」。男性は満面の笑みを浮かべ、女性の肩をポンポンとたたいた。
昨年12月2日、三ツ星ベルト神戸本社内のホール。2000年から社員有志で続けている「ふれあいクリスマス会」に、住民約300人が集まった。
入り口で迎えた男性は、西河紀男会長(82)だ。「あちらは○○さん、むこうでお辞儀をされた方は○○さん」。西河会長の口から「ご近所さん」の名前がすらすらと出てくる。
会社と地区の行事はこれだけで…