発生から24年となった阪神・淡路大震災。神戸市中央区の東遊園地で17日、遺族代表として追悼の言葉を述べた神戸市長田区の柴田大輔さん(31)は24年前、弟の宏亮(ひろあき)ちゃん(当時3)と知幸(ともゆき)ちゃん(同1)を亡くした。倒壊した自宅が炎に包まれた。「自衛隊に掘り出された弟たちの姿を目にした時は、気が動転して何が何だか分かりませんでした」
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阪神大震災とは 6434人が犠牲 8割が建物の下敷きに
2人との思い出は鮮明だ。宏亮ちゃんは「ごっつい口達者」。近所の商店街に行くと「いつも大(だい)がお世話になってます」と母親の口調をまねた。知幸ちゃんは「ものすごい負けず嫌い」。お菓子を宏亮ちゃんに取られると、ほっぺたを膨らませた。
震災後、2人の死を受け入れられず、周りに「一人っ子」と話した。「ゴー」という地鳴りの音、突然の激しい揺れ、落ちてきた天井。毎年命日が近づくと思い出し、眠れない。地震が起きると動悸(どうき)がする。それでも今は「この記憶を大事にしていきたい」と思う。
18歳で消防団に入った。3年前からは語り部として体験を伝え始めた。「弟たちのような犠牲者を出してほしくない」と願うからだ。夢で会う2人に「いま頑張ってるよ」と胸を張れるよう、生きていく。(野平悠一)