電機メーカー各社の労働組合でつくる電機連合(組合員約57万人)の中央委員会が25日まで横浜市で開かれ、三菱電機で相次いだ過労自殺問題に関連し、野中孝泰・中央執行委員長が「過労死は絶対にあってはいけない」と訴えた。直前の記者会見では「取り返しがつかない」と同社を批判した。三菱電機労組からは関連の発言はなかった。
三菱電機、裁量労働の技術者らの労災相次ぐ 過労自殺も
三菱電機では、システムの技術者や開発者だった男性社員5人が長時間労働によって精神障害や脳疾患を相次いで発症。2014~17年にいずれも労災認定され、うち2人は過労自殺だった。過労自殺の1人を含む3人は裁量労働制が適用されていた。同社は社員約1万人に適用していたが、労働時間の管理の厳格化を理由に昨年3月に全社で廃止。これらは、昨年9月に朝日新聞が報じて発覚した。
野中氏は24日の会見で、三菱電機での過労自殺への見解を問われ、「どれだけ反省しても戻ってこない命だ。取り返しがつかない」と批判した。その上で「労使ともに大きな反省のもと、抜本的な対策を取ると承知している。ほかに類似例がないか(電機連合内で)共有していく」と述べ、業界全体で再発防止に取り組む意向も示した。
さらに、25日の中央委での春闘に関する意見交換の場で、野中氏は前日の会見で三菱電機の問題で質問を受けたことに触れ、「長時間労働が起きている。それを苦にした過労死は絶対にあってはいけない」と発言。「労働時間管理は職場で徹底されているかが大切ではないか」と述べた。
一方、三菱電機労働組合の浅田和宏・中央執行委員長は同じ場で、賃上げの必要性について発言したが、自社で起きた過労自殺には触れなかった。(北川慧一)
電機メーカーの労働組合でつくる電機連合の野中孝泰中央執行委員長は24日、今年の春闘で、傘下の主要13社の労組が賃上げの要求額、妥結額とも一致させる「統一交渉」からパイオニアが離脱する見通しだと明らかにした。「会社の再生が第一で、要求、回答の日程感があわない」ことを理由に挙げた。昨年にシャープと東芝が復帰して6年ぶりに実現した全社のそろい踏みが、また崩れる方向になった。
経営再建中のパイオニアは25日の臨時株主総会で、香港ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアへの身売りを諮る。パイオニア労組によると、23日に離脱の方針を決定した。電機連合は2月中旬に同社の離脱を正式に承認する予定だ。(内藤尚志)