景気の拡大が6年2カ月に達し、戦後最も長くなったようだ。そんな見解を政府が示してから1カ月近くになるが、かつての「神武景気」や「いざなぎ景気」のような名前は定まらず、話題にもさほどのぼらない。なぜなのか。
命名が定着したのは、高度成長期の始まりにあたる「神武景気」からだ。初代天皇とされる神武天皇が即位して以来、例をみない好景気、という意味だ。
この時期には、「三種の神器」と言われた白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の普及が本格的に始まった。内閣府の前身、経済企画庁が1956年度版の経済白書で「もはや戦後ではない」と宣言した。57年度版の白書は「神武以来の景気」と表現。翌58年度版は「神武景気」と記した。報道機関も使うようになり定着した。
日本経済はその後、70年まで高度成長をひた走る。「岩戸景気」、「いざなぎ景気」と、戦後最長を更新するたびに日本の国造り神話をさかのぼって名付けられるパターンが続いた。
好景気の命名は今に至るまで、特定の組織や人物が権限を持つわけではない。「広く定着したものを白書で使った例もある」と、内閣府の担当者は言う。
1980年代後半からのバブル…