全国の壁はまだまだ厚かった――。星稜(石川)は28日、第91回選抜高校野球大会の2回戦で習志野(千葉)に1―3で敗れた。先制点を奪ったが勝ち越しを許すと、追いつくことはできなかった。昨年の8強入りに並ぶことなく、優勝をめざした星稜の春が終わった。
ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」
緩い球「無心で」適時打 岡田大響選手(3年)
二回裏2死二塁、左打席に入った8番打者の岡田大響(ひびき、3年)が相対したのは下手投げの右腕。想定していなかった先発投手に、前の打者は緩い球を打ちあぐねていた。「とにかく無心でいい球をねらった」。初球をとらえて中前適時打、先制点を奪った。
石川県白山市に生まれ、小学3年生で野球を始めた。星稜中時代は軟式野球の全国大会で優勝を経験。昨夏の甲子園はベンチだったが、秋からレギュラーに名を連ねた。冬場は細いバットにバドミントンの羽根を当てる練習を繰り返し、ミート力の向上に努めた。監督の林和成は「甲子園入りして調子が良く、打順を上げることも考えた」。
だが、継投策で本格派右腕の飯塚脩人(3年)がマウンドに上がると、下手投げとの球速の落差に苦しんだ。七回は同点の好機で三振。相手応援の迫力あるブラスバンドの演奏には「ベンチの声も守備の声もかき消された」。初戦で完封の奥川恭伸(3年)も本塁打を浴び、チームは敗れた。
だが「全国制覇」の夢はまだ終わってはいない。「チームに勢いをつける打者になる」。夏への雪辱を誓った。=敬称略(木佐貫将司)