ともに平泳ぎを専門とする2人の「ワタナベ」が早大を卒業し、新たな道へと進み出した。競泳の男子200メートル平泳ぎ世界記録保持者の渡辺一平と、2015年世界選手権女子200メートル平泳ぎ金メダリストの渡部香生子(かなこ)。卒業式の日に語ったのは、同級生への感謝の思いだった。
「自分のほうが香生子より劣っている、というのは感じていましたね」。26日、早大の大隈講堂であった卒業式で渡辺は感慨深そうに振り返った。
入学当初から2人は「Wワタナベ」としてメディアの注目を集めた。ただ、その中心は高校1年の15歳で12年ロンドン五輪に出場し、「天才スイマー」と呼ばれた渡部だった。渡辺はユース五輪で金メダルをとっていたものの、日本代表にも選ばれていなかった。
「自分は代表にも入っていないのに、比べられている思いがあって。だからこそ、絶対代表入りしてやる、という強い気持ちを持って、練習に臨んだ」
2人の立場が入れ替わったのが、大学2年で迎えた16年リオデジャネイロ五輪だ。
メダル候補にも挙がっていた渡…