サイモン・アッシャウッド氏(英シンクタンク「変化する欧州の英国」副所長)
長期延期ですべての問題を先送りした。ただ、現段階で事態をおさめるにはこれしかなかった。メイ首相はEU離脱のために、EUと合意した協定案を議会で通す努力を続けないといけない。だが、これまでできなかったメイ氏が突然、できるとは思えない。
保守党と労働党の協議も、双方に妥協の姿勢が見えない。5月下旬の欧州議会選までに離脱手続きを終えるのは難しい。協定案とともに、協定を実施するための詳細な法案も審議しないといけないからだ。
最後はEUの言いなり 「主権回復」の逆行ったメイ首相
合意なき離脱の可能性はある。これを避けるために延期する、ということを続けることに、英側からもEU側からもフラストレーションがたまる時が、急にやって来るかもしれない。
延期が抱える問題の一つは、(離脱後の英領北アイルランドとアイルランドの国境を管理する方策を検討する)「移行期間」についてだ。協定案では移行期間は2020年末に終わる。延期期間が長くなればなるほど、この問題を交渉する時間も減っていく。(聞き手・小暮哲夫)