レスリング女子で五輪4連覇中の伊調馨(34)=ALSOK=が、23日開幕のアジア選手権(中国・西安)の女子57キロ級に出場する。リオデジャネイロ五輪以来約2年8カ月ぶりの国際大会復帰で注目が集まるが、「今の自分の実力、アジアの実力を測れる大一番。すごく楽しみな部分もあるけど、不安がないと言えばうそになる」と心境を語った。
(未来ノート)伊調馨が予告した五輪金
10日、都内で報道陣に公開された強化合宿で、伊調はスパーリングを行わなかった。練習後、今年1月に左足首、3月に右足首を痛めたことを明かし、「やり過ぎると疲労骨折につながる。練習量を抑えて、技や展開をゆっくり正確に確認することに時間を費やしてきた」と説明した。
リオ五輪後は休養していた34歳。自身がマットを離れている間に世界の勢力図は変わった。「(実力を)知っている人も対戦したことがある人も一人もいない。どんな戦いになるのか」。意識する相手に昨年の世界選手権覇者で21歳の栄寧寧(中国)を挙げた。
日本レスリング協会の西口茂樹強化本部長は、「中国選手には申し訳ないけど伊調は格が違う。アジアで負けることはないと思う」と太鼓判を押すが、現在のコンディションを8割以下と話す本人は慎重だ。「いろいろな部分で試したいところもあるが、手堅く勝っていきたい部分もある。(東京五輪への)通過点と言うには軽すぎる」
伊調は、昨年12月の全日本選手権で、リオ五輪63キロ級金の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)を破って優勝した後、前人未到の五輪5連覇への挑戦を明言した。「優勝してモヤモヤしていた気持ちに光が見えた。五輪代表に向けて今を大事にしたい」。ベテランは日々体調と相談しながら、来夏のひのき舞台をめざしてギアを上げていく。
アジア選手権の女子57キロ級は26日に実施予定。アジア選手権は東京五輪の代表選考と関係はない。
伊調は今年6月の全日本選抜選手権で優勝すれば、9月の世界選手権(カザフスタン)の代表となる。世界選手権でメダルを獲得すれば東京五輪代表に内定する。(金子智彦)