(25日、卓球世界選手権 混合ダブルス準々決勝)
吉村・石川組が3大会連続で決勝へ 世界卓球
最後は、吉村真晴(名古屋ダイハツ)のバックハンドレシーブが相手のミスを誘った。混合ダブルスで3大会連続となる表彰台。ただ、試合後の取材エリアで25歳は泣いていた。「僕の場合は一回代表を外れていますし……」
今回の代表メンバーに当初、吉村真の名前は無かった。リオデジャネイロ五輪男子団体銀メダリストで、前回大会はこの種目金メダル。ただ、最近は不振。日本卓球協会の幹部は「(前回大会は)48年ぶりの金メダルを日本にもたらしてくれた貢献者」と認めつつ、「この1年の成績を見た時、混合ダブルスだけで代表枠を彼に与えるのは、大変厳しい」と理由を説明した。トップ選手として、吉村真のプライドは大きく傷ついた。
事態が動いたのは大会2週間前だ。張本智和(木下グループ)が右手薬指のけがで石川佳純(全農)とのペアを辞退。「代打」として声がかかったのが吉村真だった。
開幕間近の急転直下だけに、心身ともに準備不足は否めない。この日も、男子選手が得点源となるべきなのに「凡ミスが多くて流れが作れなかった」。ただ、そんな時はペアを組む石川が支えになった。「つなげば、どうにかしてくれる」。実際、石川の攻撃的なバックハンドレシーブ「チキータ」が次々に決まり、ラリーでも強打を何度もはね返した。10年近く組んできたからこそのコンビネーションに違いない。石川が言う。「(直前のペア変更は)すごくびっくりしましたが、実は正直自信があった」
吉村真は「世界卓球では、僕らが戦い方を知っている。それを証明するためにこの舞台に戻ってきた」。狙うは2連覇。代表漏れからの逆転劇は、まだ終わらない。(吉永岳央)