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みずほ「地味目」社長の荒業 巨額損失の先に何を見る

経済インサイド


3メガバンクの一角、みずほフィナンシャルグループ(FG)。トップの坂井辰史社長(59)は金融界で「地味」と評されます。しかし就任約1年の3月、繰り出した荒業は業界を驚かせました。「3メガで3番手」が定位置になってしまったみずほをどう浮上させようとしているのか。担当記者が「坂井体制」の1年を振り返ります。



2月20日。みずほが満を持して完成させたスマートフォンによる送金・決済システム「J―コインペイ」の発表会でのこと。


「夜中にスウェーデンのパブに行ったら、シリアの赤十字への寄付をテレビが呼びかけていた。客は画面に映し出されたQRコードをスマホで読み込み、1クローネ(約10円)単位で送金し始めた。翌朝テレビをつけると『300万円集まりました』。これは、ものすごいことだ。J―コインペイでもこうした世界をつくりたい」


発言の主はみずほFG専務執行役員(当時)の山田大介氏(58)。みずほのデジタル戦略を統括し、メディア露出も多い。


坂井氏はその隣で静かに前を見ていた。質疑応答では冗舌な山田氏とは対照的に、坂井氏は聞かれたことに淡々と答えた。


派手じゃなくていい


坂井氏は昨年4月、みずほFG社長に就任した。前任の佐藤康博・現会長(67)は旧みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)頭取やFG社長を9年にわたって務めた。マスコミではグループ経営から日本経済まで縦横に語り、名実ともにグループの「顔」だった。


一方の坂井氏。趣味は読書で、東大在学中に熱中したのは同人誌づくり。インタビューや会見は安全運転で、脱線することはない。


話題だった「LINE銀行」の会見も副社長に任せた。取引先企業の中には「佐藤じゃないと嫌だという先がなお少なくない」(幹部)。


そんな一見地味な存在の坂井氏。なぜグループ8万人のトップに選ばれたのか。


みずほFGは暴力団融資問題を受けて2014年、社外取締役が経営を監視する「指名委員会等設置会社」に移行している。


坂井氏を社長に選んだのは、メンバー全員が社外取の指名委員会。背景にはこんな声があったという。


「派手じゃなくていい。外向きじゃなくていい」


みずほは暴力団融資問題後、ガ…


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