官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)の前身にあたる旧産業革新機構が最大で年9千万円を超える高額の業績連動報酬を設けていた問題について、世耕弘成経産相は21日の閣議後会見で「高いという意見もあるかと思うが、すでに2011年に決められた報酬規定を前提に何年も仕事をしている方々に支払わざるを得ない」と述べた。11年当時の政権は、旧民主党が握っていた。
経産省は今年9月に発足したJICの年最大1億円超の高額報酬を認めず、今月に入って、これに反発した民間出身のJIC取締役9人の辞任が発表されていた。
経産省は一方、JIC前身の旧機構については最大年9千万円超の高額報酬を11年から黙認してきたことが明らかになり、整合性が問われていた。
世耕氏は「旧機構は、旧機構自身が投資判断していた。JICは(傘下の)各ファンドを監督する立場。その報酬として業績連動が必要かどうか、あってもかなり抑制的であるべきだ」と新旧組織の違いも強調した。
経産省は、旧機構の報酬規定を公表した今月3日、朝日新聞の情報公開請求に対しては、この報酬規定について黒塗りの開示決定をしていた。世耕氏はこれについて「隠すつもりはなかったが、省内での連携が不十分だったのは否定できない。その点は真摯(しんし)に反省したい」と話した。(栗林史子)