引っ越し最大手のサカイ引越センターが7日に発表した2019年3月期決算は、売上高が前年比8・8%増の961億円、純利益が2・7%増の73億円となり、いずれも過去最高だった。人手不足で人件費が上昇し、引っ越しの料金を上げたためだ。
19年3月期の1件あたりの引っ越し単価は11万3506円で、前年より4・6%増。5年前と比べて18%もアップした。とくに年度末近くには「引っ越し難民」が相次ぐほど、依頼をさばききれなかった。法人を中心に引っ越し時期をずらす動きも相次ぎ、「分散が進んだ効果で全体の売上高を伸ばせた」(中野秋代専務)。
20年3月期も増収増益を見込む。「引っ越し単価の上昇は限界だが、同水準で推移する」(担当者)とみていて、売上高は前年比2・6%増の987億円、純利益が11・0%増の81億円になりそうだという。
引っ越し業界は長らく料金の値引き合戦が続いてきたが、近年はドライバーや作業員の確保が難しい。運転手らの待遇を改善する動きが進む。サカイは約30人いる女性ドライバーを、20年3月期までに200人に増やす計画だ。女性用のトイレや更衣室がない拠点もあり、設置工事を進める。「男社会で体育会系のイメージの改善が急務。職場環境を整えることで、女性の採用を増やしたい」(山野幹夫常務)という。(神山純一)