体操のNHK杯最終日は19日、世界選手権(10月、シュツットガルト)の代表選考会を兼ねて東京・武蔵野の森総合スポーツプラザであり、男子個人総合で谷川翔(順大)が初優勝を果たした。全日本個人総合選手権からの持ち点との合計254・363点だった。2位に兄の谷川航(セントラルスポーツ)、3位に萱和磨(同)が入り、この3人が代表に選ばれた。
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最後の鉄棒の演技を、谷川翔は「記憶にない」という。追い上げる2位の兄・航とは0・502差。大きなミスがなければ逃げ切れるが、同じ鉄棒で落下し、首位から滑り落ちた1年前の場面がちらついていた。
演技によどみはなかった。「追い上げも重圧も想定内と自分に言い聞かせていた」。伸身ムーンサルトの着地を止める。「今日が怖かった。こんなに練習してきて、ちゃんとできて、感動ものでした」。20歳はぽろぽろと涙をこぼした。
昨年の苦い体験が後押ししたこ…