黒地の背景に血を思わせる赤い色の筆文字。「殺人担々麺」と書かれた看板は、福岡市のJR博多駅近くのオフィス街にある。記者は半年ほど前に福岡に赴任した直後に見つけたが、店に入る勇気はなかった。しかし先日、意を決して飛び込んでみた。「殺人」とは穏やかではない。いったい何が出てくるのか……。
その店の名は「陽華楼」。ドアを開けると、壁にはたくさんの貼り紙があった。
「お子様や高齢者、心臓の弱い方はご遠慮ください」
「内臓や腸に疾患のある方は注文不可」
「刺激に弱い方注文しないでください」
不安が募る。それでも「記事のネタのため」と自分に言い聞かせ、「殺人担々麺」を注文した。「殺人、一つ入りました」とオーダーの声が飛ぶ。しばらく待つと、お店の人がにこやかな顔で担々麺を持ってきた。
「殺人、お待たせしました」
あれ、見た目は普通の担々麺だ…