生卵とゆで卵で日持ちするのはどっちだと思いますか? 梅雨で食べものの傷みが気になるいま、卵の保存についても情報更新しておきましょう。食と料理の新常識を探る「ごはんラボ」で調べました。
◇
卵には、生卵の方が熱を通したものより日持ちするという「パラドックス」がありました。
日本養鶏協会アドバイザーで元東京農業大学教授の信岡誠治さんによると、生卵の賞味期限は各メーカーが決めていますが、産んでから21日間が標準。卵かけごはんのように生卵を好む日本の食習慣に合わせて、生で安全に食べられる期間として設定されています。理由は殻の中で卵黄を包んでいる生の卵白には殺菌作用があり、雑菌をシャットアウトしてくれるから。これがゆで卵になると働かなくなります。傷みやすくなるというわけです。「殻ごと冷蔵庫に入れても、できれば当日中に食べていただきたい」
ここで気になったのは、コンビニで人気のパック入りのゆで卵です。「半熟トロトロ」をうたう商品に表示された賞味期限を見ると、要冷蔵とはいえ2週間先の日付になっています。メーカーに理由を聞くと、「サルモネラ菌による食中毒につながる心配がないように、原料の卵のチェックからゆでてパック詰めするまで、衛生管理した工場内で製造し、低温で流通させるからです」との答え。同じに見えるゆで卵でも、食品工場と雑菌のある家のキッチンの環境はまるで違うというわけです。
では冷凍保存はどうでしょう。
信岡さんは、「やはり衛生面から家庭での生の卵の冷凍は勧められません」。冷凍後に解凍した卵黄の、水分が抜けた食感を利用したレシピがインターネットなどで見られますが、冷凍中にひび割れた殻からサルモネラ菌など食中毒の原因菌が入り、解凍中に増殖するなどリスクが防ぎきれません。卵黄だけ、卵白だけを分けて冷凍する場合も同じです。