熱帯雨林地域が産地のチョコレートの主原料・カカオ。東京・小笠原諸島で栽培に成功し、このカカオを使ったチョコが今秋に発売される予定だ。その名も「東京カカオ」。国産チョコを夢見た製菓会社社長と小笠原の農園主が挑んだ9年がかりのプロジェクトがようやく実を結ぶ。
東京都心から約千キロ、小笠原諸島・母島の折田農園。カカオの木に黄色や赤、緑の実がなる。「かたくて重いでしょ」と農園主の折田一夫さん(73)。「中に豆がいっぱい入っているんだ」
折田さんは終戦翌年の1946年、東京都大田区で生まれた。米国が統治していた小笠原諸島が68年に返還されると、父親の故郷・母島への移住を決めた。父島で車修理の仕事をしながら準備をし、5年後に母島へ移り住んだ。
当時、母島は荒れ放題だった。…