福岡県小竹町の「兵士・庶民の戦争資料館」で、戦前の言論弾圧政策で発禁となった左翼系の書籍「日本プロレタリア美術集」が確認された。副館長の武富慈海(じかい)さん(70)の祖父が、思想犯を取り締まる特別高等警察の任務に就いていた当時、ひそかに持ち帰って保管していたとみられる。
美術集はB5判で146ページ。社会主義革命をテーマにした絵画や版画、ポスターなど約100点を所収。「日本プロレタリア美術運動発達史の概観」と題した論文や関連年表なども入っている。日本プロレタリア美術家同盟が編集し、1931(昭和6)年7月に発行された。
旧内務省が検閲に使った多くの出版物を所蔵し、研究者の調査も行われている東京の区立千代田図書館によると、この本は1505部発行されたが検閲で発禁となり、378部が差し押さえられたという。
きっかけは一通の手紙だった。…