2016年米大統領選に絡む「ロシア疑惑」に関し、トランプ大統領が議会の調査を、「行政特権」を使って徹底的に拒否する姿勢を強めている。議会は政権幹部への「議会侮辱罪」を認める決議で対抗。司法闘争に発展する可能性が高まっているが、トランプ氏には司法で戦った方が得策との思惑もちらつく。
「議会の召喚に対し、トランプ政権の一貫した拒否は、米史上最大の隠蔽(いんぺい)工作だ」。民主党のホイヤー下院院内総務は3日、声明でトランプ政権を批判した。
そして、マラー元特別検察官による「ロシア疑惑」の捜査報告書について、全面開示を拒否したバー司法長官と、議会での証人喚問を拒んだマクガン元ホワイトハウス法律顧問の2人に関して、「議会侮辱罪」を認定する採決を11日に行うことを明らかにした。
ロシア疑惑の追及をめぐって、ホワイトハウスと議会は全面対決の様相だ。
4月に公開されたマラー氏の報告書では、トランプ氏の司法妨害について、10件もの疑わしい行為を詳述しつつ起訴の判断は見送った。今後の真相究明は議会の役割だと託した。
これを受け、野党・民主党は過半数を握る下院で、マクガン氏の証人喚問のほか、報告書の「黒塗り」部分の全面公開、トランプ氏の過去の納税記録の公開などについて、追及をエスカレートさせている。
これに対し、トランプ氏は「報告書は『(ロシアとトランプ氏陣営の)結託なし』と結論づけた。民主党の『やり直し』はもうたくさんだ」と批判。政権内部の情報を、議会や裁判所に公開しないことができる大統領の権限「行政特権」を使って、徹底的に議会の要求を蹴散らす構えだ。
そんななか、民主党にとって誤算が起きた。
民主党は、マラー氏の証人喚問…