米国家安全保障会議(NSC)のモリソン上級部長(大量破壊兵器・生物兵器防衛担当)は29日、ワシントンで講演し、2021年に期限が切れる米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)の延長について「(トランプ)大統領が来年のある時期に決定する」との見通しを示した。
オバマ前政権時代の11年に発効したこの核軍縮条約について、トランプ氏はかつて「悪い取引」と批判したことがあった。ロシアは延長を希望しているが、米側は方針を明確にしていない。トランプ政権は2月、ロシアとの間で締結している中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱をロシア側に通告し、中国を交えた新たな核軍縮協定に意欲を示している。
一方、アシュレー米国防情報局長は同じ講演会場で、ロシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)を順守せず、低出力の核実験を行った可能性を示唆した。(ワシントン=渡辺丘)