新型コロナウイルスは世界保健機関(WHO)が3月11日にパンデミックの特徴を備えていると宣言して以降、引き続き世界規模で感染の拡大を加速し、190か国余りにまで広がり、地域的問題から世界的問題へと変貌している。(文:席来旺。人民日報社海外駐在記者、国際問題学者)
世界規模で重大な感染症による突然の打撃をこうむる中、人類社会は特殊な苦難と鍛錬を経験せざるを得ず、これに国際社会に元からある矛盾や衝突が加わって、今回の感染症は、そのもたらす不確定性が一段と際立っている。今回の世界規模の重大な感染拡大は世界秩序の再編も加速する。ニューヨーク・タイムズのコラムニストで『フラット化する世界』の著者であるフリードマン氏は先日「今回の新型コロナウイルスの感染拡大は新たな歴史の時代区分の起点になる可能性がある」と指摘した。今回の感染症が世界にもたらす大局的影響はその広がりにおいても深まりにおいても、2001年の米同時多発テロや2008年の世界金融危機を遥かに上回る。
そして今、世界の感染症との戦いは共同体意識の確立をなおさらに必要としている。国連のグテーレス事務総長が指摘したように「感染症のもたらす危機はその規模と複雑性において国レベルの措置では対応のすべがない。世界は足並みを揃える革新的な行動を果断に取らなければならない」のである。遺憾なことに、世界の主要なパワーがいずれも感染症との戦いを厳しく大きな試練と見なしている中、国際協力に積極的に参加することのない大国がある。
米国は、中国が多大な犠牲を払って全世界のために稼いだ貴重な時間を浪費しただけでなく、国際社会と協力して感染症と戦うというめったにない歴史的チャンスも逃したのである。元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)のキャンベル氏とイェール大学シニアフェローのDoshi氏は米誌フォーリン・アフェアーズで「今回の感染症による打撃の下、米国はその優位性について大きな試験を再び受けているが、その成績が不合格なのは明らかだ」と指摘した。より広い視野で見ると、国際的な感染症との戦いにおける米政府の言動は世界の人々を失望させるものであるうえ、より有害な「政治ウイルス」として非難されている。
欧州としては、感染拡大はNATOとEUにとってある程度の打撃となっている。2001年に立ち上げた「EU市民保護メカニズム」は本来、加盟国と他の参加6か国の市民保護協力を強化することで、各国の災害防止・準備・対応を改善することを意図している。だがこのメカニズムは感染状況の最も深刻なイタリアが発動を求めた時、停頓・機能不全の状態に陥ったようだ。EU内で互いに不満があるだけでなく、感染症と戦う欧州に対して井戸に落ちた者に上から石を投げつけるような米国の態度によって、感染症との戦いで協力するのは夢のまた夢となった。
中国は苦しい努力を経て、国内の感染防止・抑制状況に積極的で良い方向への変化が生じている。現在、中国の特色ある「感染症との戦い」外交は並外れて活発であり、感染症との戦いにおける経験を世界と分かち合い、各国に医療救援物資を提供するとともに、WHOと国連の権威を守っている。中国はさらに世界に「中国モデル」の魅力を見せ、「責任ある世界の大国」としてのイメージを一層強化し、中国の提唱する「人類運命共同体」意識は一層明確な裏付けを得ている。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年3月26日