ポタラ宮が描かれたギャンツェの絨毯。画像は西藏ギャンツェ県年堆郷尼瑪チベタンラグ加工農民専業合作社の公式サイトから。 西蔵(チベット)自治区江孜(ギャンツェ)県年堆郷にある尼瑪チベタンラグ加工農民専業合作社の生産工場では、織機のカタカタという音が鳴り響き、作業員たちが自分の持ち場で秩序正しく作業をこなしていた。人民日報が報じた。 合作社の発起人・旦增称来さんは、「ギャンツェのチベタンラグ製造は900年以上の歴史を誇る。明・清の時代には、皇帝への『貢ぎ物』だった。1メートル四方のチベタンラグを作るのに約10日かかり、価格は約3000元(1元は約15.3円)。注文に基づいて生産しているが、生産が追いつかない状況だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、発送が難しくなったこともあったが、今は生産と物流がすでにほぼ正常な状態に戻っている」と話す。 旦增称来さんは子供の頃から、有名なチベタンラグ職人だった祖父・尼瑪振堆さんの影響を受けて育った。そして、2014年に、西藏大学の建築設計学科を卒業し、公務員になったものの、その後辞職すると、数人と共同出資して43万元の資金を用意して合作社を立ち上げた。 展示ホールに飾られている大きなポタラ宮のタペストリーの前で、旦增称来さんは、「伝統的なチベタンラグは、製造工程が複雑であるものの、その図案は単一的で、現代の人々の美的理念や多元化したニーズを満たすことはできない。そのため、伝統技術と現代技術を組み合わせ、歴史的建築物や絵画、書道作品、民族装飾を一体化し、3D立体視覚效果を備えたタペストリーの開発にチャレンジした。そして、『オーダーメイド』を実現すると、すぐに人気商品となった」と紹介する。 「起業するに当たり、選んだ業界が正しかったこと、そして、起業してから今に至るまで、チベットで起業する大学卒業者に給付される起業資金などの政府の各種政策の恩恵を受けることができたことは、とてもラッキーだった」と旦增称来さん。 2015年、現地政府は合作社に貧困者支援資金として90万元を提供し、規模拡大をサポートし、さらに、担保を提供して合作社が銀行から融資を受けることができるように計らい、合作社は発展のうえでの資金面の問題を解決することができた。 合作社は現在、「合作社+貧困世帯+拠点+文化モデル転換・高度化」という運営スタイルを採用し、地元の人々が地元で就職できるようバックアップしている。旦增称来さんは取材に対して、「地元の人々みんなが裕福になるのが僕の夢。従業員65人が既に、社内と社外の仕事で、安定した收入を得ることができるようになっている。うち26人は貧困世帯に登録されており、1人は身体障害者だ」と話した。 さらに、「提携会社を通して、合作社が生産しているチベットの地方劇の仮面が描かれたチベタンラグやタンカが描かれたチベタンラグなどの新商品は、欧米にも輸出している。また、新たに開発した日本市場向けの絨毯やタペストリーも大ヒットしている。目標はギャンツェのチベタンラグというこの素晴らしい民族手工芸製品を世界にPRすること」と笑顔で語った。(編集KN) 「人民網日本語版」2020年3月31日 |
「皇帝への貢ぎ物」を海外輸出へ 伝統手芸で地元の人々を豊かにするチベットの若者
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